はるをたべる


そらまめを茹でる。そらまめの香りがする。

薄皮をつるんと剥いて。白い器にポンと放って。

そらまめの冴えかなみどり。茹でたてのしっとりとしたつやの。


およそ春のお豆たちは、春の結実のようだと思う。

春というもののすべてを含み形を成した、さやまめたち。


春の結実を口に含む。

さみどり色が頭を越えてひろがっていく。

結実した春を味わう。

春のやわらかさも着実さも力強さも、ここに。

結実したいのちを食べる。

春のいのちを迎え入れること。


もう立夏も過ぎた草木の新しいみどり色と、同じようなみどり色に染められて、

このわたしというのもわたしをこれまで生きてきた時間の結実であった。

と、気づいた、さみどりの色。

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